困ったことにタッチダウン誌が書店から消えた

一応雑誌の話なのでカテゴリは「読書」にしておきます。

現在久保田の生活している街には、一般書店が2店舗あります(一店舗は啓文堂、もう一店舗はくまざわ書店。隣の駅にもも啓文堂があるのだが、厳密には神奈川県の地番。あ、あと蔦谷書店もあるが、あそこは書店と思っていない-レンタル屋に毛が生えた程度という意味-)。

6月30日午後5時以降、該当書店に「タッチダウン」誌が入荷していません。

それどころか、あんな売れない雑誌だから配本されたら残っているはずと思って実家近くの書店2店舗を探しましたが、こちらにも在庫がありません。

という事は、恐らく「返本率を下げるために、配本数を引き下げた」のか、「取次に嫌われた」のか、どちらかだと思います。不手際による回収でない事は、Amazonで在庫有りになっている事から判る訳で。

まあもっとも、悪口を書かれたと勘違いしたチームの関係者が、都内書店で買い占めを行ったといえう可能性が無い訳ではないんでしょうが、そんな可能性はゼロに近いだろう。

問題は、編集長交代後最初の号である、という点。

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佐々木丸美さんの復刊運動について(3)

久保田は復刊運動に参加しなかったけれど、それは復刊という行為を否定するものではない。
実際の問題として、中古市場で妙な高騰をしなければ、多少の傷みはあれど全巻入手可能だし、図書館によっては全巻開架している場所もある。それを越えての復刊要求をする価値が久保田に見いだせなかっただけであり、そこに価値を見いだした人たちの価値観を否定する物ではない。

そもそも復刊という行為は

  1. その作家の全容を知りたいが為の独占欲の為せる技
  2. その作品を読んで、初読当時などを思い出すノスタルジー
  3. コレクター衝動
  4. 過去の道程を示すための記念碑めいた行為
  5. 自分の趣味を他人に押しつける布教行為の道具

といった意味でしか成立しないものである。
いずれも「買い手側の事情」であり、いずれも需要である。

当然この需要がある一定の条件を満たせば、供給側は利益を維持できる事になり、収支バランスが取れる。
出版社はあくまで商活動なので、収支バランスが取れなければ供給しない。これは当然の摂理である。
※当然文化事業の側面も否定しないが、自分が倒れたら意味がない。過去、それで財産的失敗を犯した出版人は沢山いる。典型例は「幻影城」の島崎博。折角のコレクションが散逸したのは、雑誌継続よりも日本推理文壇には痛手だった。

従って、この収支バランスの間隙を縫うように「同人による復刊」という手も存在する(典型例は天城一を特集した「別冊シャレード」。ちなみに戦前の推理小説専門誌の大半は「ぷろふいる」「シュピオ」のように同人誌の市場流通と呼んでも差し支えないものばかりである)。
または、希望数から需要予測して在庫リスクを抑えて刊行することも出来る。今回の佐々木丸美復刊の中軸となったブッキングが運営する「復刊ドットコム」は、この手法である。

ところで、出版にはもう一つの需要と供給がある。
書き手と、出版社の関係である。
書き手という供給者が、どんなに物を供給しようと、市場が求めなければ出版は成立しない。その市場リサーチをする出版社が求めないものであれば、作品は世に出て行かない。

いずれにせよ、需要にマッチしないものは売れない。需要を喚起する為の付加価値がどうしても必要になる。

その為の旧作復刊は、作家にとってメリットである。
しかし、佐々木丸美はそれを拒んだのである。新作で評価されたい、懐旧的に扱われたくない、という理由で。
それはしかし、作家として問題だったのではないか、と久保田は思うのである。

一度世に放たれた作品は、音楽であれ絵画であれ小説であれ、全て著作者ではなく読者が生殺与奪権を握る。
作者が出来ることは、作品を殺す(自分の権限で複製を拒む-小説では再版を認めない事-権利はある、という意味)事だけだが、それは時として作者の傲慢に他ならない。
作者が作品を殺すことは、すなわち過去の活動が間違っていたという事に他ならない。
たとえば「長編化したので、短編は封印」とか「重大な事実誤認があったので、出版は関係者に迷惑となるので封印」とか、そういう事であれば作品を殺さざるを得ない。
しかし、それ以外の理由で作品を殺す権利が作家にあるのだろうか?

ここが、復刊反対意見の人たちと久保田の大きな違いなのである。

(また数日後に続きを書きます)

佐々木丸美さんの復刊運動について(2)

5/31の続き。
12月から創元推理文庫での文庫版第二弾(『雪の断章』『忘れな草』『花嫁人形』『風花の里』『罪灯』『罪・万華鏡』)が隔月で刊行される事になった訳である。
つまり、佐々木丸美の推理小説は全て文庫化される事になる。

※多分復刊運動を推進・指示した人は以下の文章を読んで激怒するなり嫌悪感を示すと思います。それなりの覚悟をしてください。

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久しぶりに、7/末~8/頭に購入した書籍の紹介

これはAmazoneから値を取得するテストを兼ねています。
さすがに自分の無能っぷり(どうしても頭の中でプログラムの構造をイメージ出来なかった)から、フルスクラッチは断念して、ホリデーウェブマスターブログさんで公開されていた奴を、私好みになるように加工しています。
本来はサブウインドウを開く形で処理したかったのですが、そこまではまだ届かないので、将来の課題とします。(現在は検索結果の横に、htmlを表示して、それをコピーしています)

画像は取得するようにしたのですが、Amazone自体に画像がないものも多く(その場合は×マークが表示されています)、そのうち取得画像を自サーバに保存できるようにしてしまいたい衝動にかられてしまいます。

ここまで機能をコツコツと拡張してきて、当初予定していた機能としては、あと「トラックバック」と「コメント」が残っていますが、これは今年の冬まで持ち越しになりそうです。というのも、仕事がバタバタしていて、そこまで集中した作業が出来そうにないから、です。
その代わり、アメフト観戦登録ツールを作ろうと考えています。

では書籍は、続きの方に。何せ今回は大量ですから。

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佐々木丸美さんの復刊運動について(1)

何故(1)としたかというと、とびとびで続き記事になる予定だから。ただし次回が書かれる保証はどこにもないです。

基本的に書籍というのは「読みたい」と思う人間の欲求と「発信したい」という書き手の欲求が交わった時に、どれだけ市場に流通しているかが発行の決め手になると思っている。
その中間にいる筈の出版社が、その収益性を全面に出して需給バランスを崩したのは、角川書店が仕掛けたいわゆる「文庫戦争」であり、その結果は「悪貨は良貨を駆逐する」だった訳で、価値ある作品が残るのではなく「商売になる作品が、その製品寿命の間だけ生き残る」事になっていった。
歴史的価値のある作品は、学校の副読本指定されたようなものでない限りは残らない。
文学史に出てこない作品は、余命が短い。
横溝正史にしろ江戸川乱歩にしろ、周期的にファンが外部で何かして復活する事があるだけで、代表作として最大公約数の中に入っても不思議ではない作品が品切れで読めない場合もある
※横溝正史で言えば、創元推理文庫がなければ『蝶々殺人事件』は読めない。なぜなら、金田一耕助ではないから需要がない。これは次世代に知識を継承すべき現役作家達の堕落とレビュアー(評論家ではない。ブックガイドの書き手、そして文庫の巻末解説とか雑誌の書評欄で提灯記事を書き殴る人の事。たとえば茶木則雄とか関口苑生みたいな人。つまりそこで作品読後の余韻に付加価値をつけられない人)の質の低さにあると思う。

主に熱狂的なファンがいれば、長い周期の中で入手可能な本を生み出す機会も出るだろう。典型例として言うなら『海野十三全集』『香山滋全集』(ともに三一書房)、『日影丈吉全集』(国書刊行会)がそう。さかのぼれば三一書房の久生十蘭や中井英夫の全集も、代替品が出るまで生きていた(逆に夢野久作のように代替品であるちくま文庫があっさり品切れになって入手困難になったものもあるが)ものもある。
こういったものは、平たく言うと「古本屋を含めて、市場に循環する」書籍だ。

しかし、今回取り上げた佐々木丸美さんは、違った。
昭和50年以降、つまり角川の文庫戦争以降、書籍は大量消費されるものとなり、以前に比べて廃棄されるケースが増えたのである。その時代のミステリ作家に関して言うと、新本格ムーブメントで復活した人もいれば固定ファンがいて生きながらえたものの、新規ファンがいる訳でもないので消えかかっている人もいる。
佐々木さんは後者のタイプで、通常市場から淘汰される運命にあった。つまり、厳しく言ってしまうと昭和60年以降新作を発表出来なかった時点で、佐々木さんは商品寿命を終えた作家だったと、個人的には思っている(さらに言うと、作風も進化できなかったという点において、終わった作家と呼ばれても仕方ない)。

ところが、たまたまニフティ(当時はインターネットではないニフティ・サーブのほう)で凄く盛り上がって。
ニフティの推理小説フォーラムがインターネットに客を取られて一気に衰退して。
そこで盛り上がった女の子数名がその情熱を持って復刊運動に取り組んだのである。

そこに私は入らなかった。
というのも、上記の「需要と供給」から見て、佐々木さんの作品は『崖の館』以外は需要がないと判断していたし(これは今でも変わらない)、そもそも古書市場で充当される範囲のものであると思っていたから。
※そもそも昔のサイトを立ち上げた時だって「こんな作家さん、いたよねえ。懐かしいねえ」という程度でいいとしか思ってなかったし、それ以上の責任を背負いたいとは思わなかった。このへんは価値観の相違であって、佐々木丸美よりも日影丈吉の方が上位に位置していたのもあるしね。さらにその「ドリーマー」な活動に、どうしてもついて行けなかったのですよ。そりゃ俺も30超えていたし、森雅裕みたいな実例見ているし、自分が作家目指していたから、末路まで調べていたから、その行為が通る率が低い事も知っていたから。

で、紆余曲折を経て、復刊運動はブッキングと創元推理文庫による復刊、ならびに予想外の結果(未文庫化作品だった『罪灯』と『罪・万華鏡』、ならびに孤児4部作も創元推理文庫入りの予定が出た)を果たしたのである。
彼女たちが活動の終点を見いだしたとブログで告白した事を受けて、「ご苦労様」と告げたいと思う。凄く苦労したのは聞いているし、佐々木さんの突然の訃報もあったし、その中でここまでこぎ着けた事は、偉業だからね。
いまの出版界では、考えられない結果なんですよ、これは。

でも……(以下、次回。ただし次回がある保証はない)

1月後半の登録書籍

忘れないうちに。評価したものだけが掲載されていますが、時折評価しない登録もあります。新刊購入時は評価なしになりますが、最近買って即登録はしていません。1/17の登録

月長石の魔犬 (講談社ノベルス)
ASIN:406182192X

秋月 涼介
講談社(新書/231頁)
一刷刊行日:2001-06
定価(税込):¥ 798


踊る狸御殿
ASIN:4488023576

朝松 健
東京創元社(単行本/279頁)
一刷刊行日:2001-12
定価(税込):¥ 1,365


マンハッタン・オプI (ソフトバンク文庫 ヤ 1-3)
ASIN:4797341734

矢作 俊彦
ソフトバンククリエイティブ(文庫/328頁)
一刷刊行日:2007-10-18
定価(税込):¥ 735


マンハッタン・オプII (ソフトバンク文庫 ヤ 1-4)
ASIN:4797341742

矢作 俊彦
ソフトバンククリエイティブ(文庫/328頁)
一刷刊行日:2007-10-18
定価(税込):¥ 735


理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)
ASIN:4488473016

似鳥 鶏
東京創元社(文庫/252頁)
一刷刊行日:2007-10
定価(税込):¥ 609

1/19・20の登録

スタジアム 虹の事件簿 (創元推理文庫)
ASIN:4488431011

青井 夏海
東京創元社(文庫/322頁)
一刷刊行日:2001-04
定価(税込):¥ 651


赤ちゃんをさがせ (クイーンの13)
ASIN:4488012213

青井 夏海
東京創元社(単行本/291頁)
一刷刊行日:2001-10
定価(税込):¥ 1,890


赤ちゃんがいっぱい (創元推理文庫)
ASIN:4488431038

青井 夏海
東京創元社(文庫/296頁)
一刷刊行日:2003-04
定価(税込):¥ 672


殉教カテリナ車輪
ASIN:448802355X

飛鳥部 勝則
東京創元社(単行本/301頁)
一刷刊行日:1998-10
定価(税込):¥ 1,890


敵は海賊・正義の眼 (ハヤカワ文庫JA)
ASIN:4150308934

神林 長平
早川書房(文庫/306頁)
一刷刊行日:2007-06
定価(税込):¥ 651

1月前半の登録書籍

Serendipity のAmazon検索が更新されて、使えるようになりまし。そこで縦に長くなりますが挑戦してみようと。 ※実際は1レコードのみの検索結果がうまく表示されないというバグがあるので、何箇所かコードを追加する必要があるのだけれど

評伝・SFの先駆者今日泊亜蘭―“韜晦して現さず”の生涯 Publisher:青蛙房
出版日:2001-11
Number of pages:251
ISBN:4790503763
 
毒草師 毒草師(Book)Author:高田 崇史
Publisher:幻冬舎
出版日:2007-04
Number of pages:325
ISBN:4344013166
 
神話の島 (ミステリ・フロンティア 34) 神話の島 (ミステリ・フロンティア 34)(Book)Author:久綱 さざれ
Publisher:東京創元社
出版日:2007-06
Number of pages:365
ISBN:4488017290
 
首鳴き鬼の島 (ミステリ・フロンティア 35) 首鳴き鬼の島 (ミステリ・フロンティア 35)(Book)Author:石崎 幸二
Publisher:東京創元社
出版日:2007-08
Number of pages:315
ISBN:4488017401
 
女王国の城 (創元クライム・クラブ) 女王国の城 (創元クライム・クラブ)(Book)Author:有栖川 有栖
Publisher:東京創元社
出版日:2007-09
Number of pages:507
ISBN:4488012272
 
雲上都市の大冒険 雲上都市の大冒険(Book)Author:山口 芳宏
Publisher:東京創元社
出版日:2007-10
Number of pages:394
ISBN:4488023975
 
MM9 MM9(Book)Author:山本 弘
Publisher:東京創元社
出版日:2007-12
Number of pages:285
ISBN:4488018122
 

続いて1/14登録分

銀河列車の悲しみ 銀河列車の悲しみ(Book)Author:阿井 渉介
Publisher:講談社
出版日:1992-02
Number of pages:309
ISBN:4061816012
 
キムラ弁護士、ミステリーにケンカを売る キムラ弁護士、ミステリーにケンカを売る(Book)Author:木村 晋介
Publisher:筑摩書房
出版日:2007-11
Number of pages:218
ISBN:4480816585
 
双面獣事件 (講談社ノベルス ニF- 13) 双面獣事件 (講談社ノベルス ニF- 13)(Book)Author:二階堂 黎人
Publisher:講談社
出版日:2007-12-07
Number of pages:751
ISBN:4061825739
 

年末年始はコレ

いやあ、遂に来たぜというのがコレ。

  四畳半壁面幅高さめいいっぱい、3列スライドの書棚です。
でも、かなりいっぱいいっぱいですけどね(汗)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家具のヤマカワ@京都さんにお願いしました。
元々は今の場所に引っ越した時に頼もうと思ったんですよ。
その為にこの部屋の収納用扉を、事前に取っ払って貰っていた(収納スペースにも本棚を格納する計画だった)のですが、なんと予算オーバー。
この時は収納に既製品を入れて貰いました(その為、3列に拘った関係で高さで損をしています。そうしないと棚が使えないところが出るのと、設置が困難だったので)。

夏冬ボーナス貯めて、11月末に発注して、無理して年内に納入していただけまして。
そう、これは12月29日に納品されたのですっ!!
そこから、実家にある本を殆ど持って参りました。段ボール27箱(ヤマト運輸の10号で4箱、12号で23箱)。
おかげで親父には「おまえは年末家に来ても何もしない」と野次られるし、年明けから疲労性腰痛に悩まされるし(マッサージ受けてかなり良くなった)。

中学1年生の時に初めて読んで衝撃を受けた横溝正史『悪霊島』の文庫から始まり、ミステリ・SF系の書物は一冊も捨てていません(唯一、『三毛猫ホームズの怪談』だけが、高校のクラスメイトに貸したきり帰って来ませんでした。今更買うのもアレなので……「知らないよそんなの」はないだろう、加藤君。漫画でも漢字は読み飛ばすというあんたが是非と言うから貸したのに)。
まだまだ増えるのでしょうが、とりあえずあと3年は大丈夫かな、と。昔ほど私好みの作品が出ている訳ではないので。

※これ以上本棚を作るというなら、それ用に家を設計して買わねばならない。50歳過ぎたら、駄本は売りに出すしかないかな。 この本棚のおかげで、蔵書目録の改訂・追加登録の回数が増えています(読書の更新履歴には、感想が出たものだけが表示されていますが、それ以上に修正・追加は行われています)。

そんな訳で。
今年中には全部登録できるんじゃないでしょうか。我ながら楽しみです

本日の登録書

この連休は体調不良(不眠と胃痛)に苦しみ、アメフト観戦どころではありませんでした。

で、少しは登録を進めようと。

まだ直近の既読が数冊ありますが、それは後日。やはり『銀河英雄伝説』は入れにくいし(笑)