久しぶりに読んだ本だが

どうも老眼が顕著になってから読書意欲が衰えたように気もするが、久々に一気読み。

フィルムノワール/黒色影片
ASIN/ISBN:4103775076

 

矢作 俊彦
新潮社(単行本/571頁)
一刷刊行日:2014-11-29
定価(税込):¥ 2,484

   

もうね。「日活ハードボイルド」と「香港ハードボイルド」を一気にまとめあげた「宍戸錠Love」な話。よもや作品中に本人を登場させるは本人が打たれるはやりたい放題。
粋なヨコハマを愛する矢作さんとしては、現在の横浜では寂しいのかも知れないな。 

ただ、二村永爾が退職して食卓になっていたのにはビックリ。あの『真夜中へもう一歩』の頃の感覚で読んでいると、そこに違和感を感じてしまうのだけれど。

そしてもう一冊

だれの息子でもない
ASIN/ISBN:4062192489

 

神林 長平
講談社(単行本(ソフトカバー)/298頁)
一刷刊行日:2014-11-11
定価(税込):¥ 1,674

   

こちらも久しぶりの神林ワールド。でもなあ。帯に西尾維新とか虚淵玄がアオリ入れているってのは、なんか時代と言うよりセンスないというか。格が違う者がご推薦だ何て、講談社の文芸の質が落ちているようにしか思えん。 

大塚家具の騒動について思う

ま、色々言っている方が群雄割拠な訳ですが。

この問題は「何を持って勝ちとするか」を明確にしていないとトンチンカンな話をすることになってしまう。

特に「会長が勝つ」という人の視点で、「会長の姿勢には一貫としたポリシーがある」という理由を挙げた人は、それは「ビジネスモデルとしての勝利」の話であって、「株主総会での勝利」の話にはならない(現在の企業業績のあり方として、手法をポリシー化している事ほど無駄なものはないから)。
事実、現在のビジネスモデルにおいて最も嫌われる「個人的な経験の蓄積を至上とするスタイル」が、個人商店レベルのうちは良いとしても、大企業として未来に永続する体力になり得ないのを読み切れていない、という事になる訳だ。

さらに問題なのは、会長のビジネススタイル(会員制で、かつ店員がずーっと張り付いていて、まとめ買い)は、正直社会全体が上り調子の時には「ブランド力」を誇示する為に使える技で、それこそ「いつかはクラウン」戦略な訳ですよ。
ところが、シュリンクする市場に於いては「以前買ったもののうち1つが壊れたからそれだけ買い直したい」とか「まとめて一括なんて無理無理」という意見と真逆になっているし、そもそも「敷居が高い」所よりも「お値段以上」つまり「値段はまあまあだけど、思ったより満足」な所に人は流れる訳だ。

その状態で会長のビジネスモデルは、行き詰まったときににっちもさっちもいかない事になる。

だから株主総会で勝てる筈がないのである。

むろん、以前マツダがやっていたように「ターゲット階層ごとにブランド分け」という方法だってあったと思うから、そこは社長側の狭量ぶりを示しているけれどね。

なお、これから負けた会長側がどうすべきか、というと、有り体に言うと「今持っている株式を全部市場に放出し、その資金で自分たちが思う家具会社を立ち上げる」のが一番いいんじゃないんですかね。もしゴシップ報道にあるような「会長夫人が長男に後を継がせたい」というなら、そもそも長男を前面に立てて新会社を作ってしまえばいいのですよ。

※以下、3/30追記。

あるサイトで「会長が勝つ」と行っていた人の言い訳を見た。ひどかった。
まず、直前の報道で支持(大手株主の支持比率)が会長派が26パーセント、社長派が21パーセントだったのに対して、議決では会長は30パーセント代、社長派61パーセントとなったのだけれど、この理由が「当日における会長側の言動」って、ちょっと。
いやさ、そもそも株主総会に出た200人が、株式の40パーセントを握っていたというのだろうか。
株主総会における議決権行使に於いて、普通「欠席される方は一週間前までに郵送で」という事になっているので、大半は郵送していると思うのだけれど。
結局、転向者が出たのでは無くて、そもそも「伸びしろのないきっきつパッンパツンな26パーセント」と「大半が届いていない21パーセント」という割り振りだっただけなんじゃないのかな。
多分に会場で投票した人たちの持ち株比率なんて数パーセントなのだろうから、既に事前のマスコミ露出の時点で会長側は株主にそっぽ向かれていたというだけ。それを読み取れない人が偉そうに何を語っても駄目。あまりに無責任な自己弁護は辞めた方がいいと思うのだけれど。

世界選手権の試合日程がこうなったようです

元記事は7/16に投稿されていたのですが、日付時刻はすべて現地時間

7月9日木曜日
 午前11時00分 – #6オーストラリア対#7韓国(B2)
 午後2時00分 – #5フランス対#8ブラジル(B1)
 午後5時00分 – #2カナダ対#3日本(A2)
 午後8時00分 – #1 USA対#4メキシコ(A1)

7月12日日曜日
 午前11時00分 – 敗者B2 – 敗者B1(B3)
 午後2時00分 – 勝者B1 – 勝者B2(B4)
 午後5時00分 – 敗者A2 – 敗者A1(A3)
 午後8時00分 – 勝者A1 – 勝者A2(A4)

7月15日水曜日
 午前11時00分 – 敗者A3 – 敗者B3(B5)
 午後2時00分 – 敗者B4 – 勝者B3(B6)
 午後5時00分 – 勝者A4 – 勝者B4(A5)
 午後8時00分 – 敗者A4 – 勝者A3(A6)

7月18日土曜日
 午前11時00分 – 7~8位決定戦(敗者B6 – 敗者B5)
 午後2時00分 – 5~6位決定戦(勝者B5 – 勝者B6)
 午後5時00分 – 3~4位決定戦(敗者A6 – 敗者A5)
 午後8時00分 – 優勝決定戦(勝者A5 – 勝者A6)

全試合中2日ですね。

 

リブロ池袋店閉店に思う

一応カテゴリは「読書」です。

この書店については、以下の書籍をお読み戴くのが一番だと思います。
 

書店風雲録 (ちくま文庫)
ASIN/ISBN:

 

田口 久美子
筑摩書房(文庫/345頁)
一刷刊行日:2007-01
定価(税込):¥ 929

   

ちなみに私が持っているのは元版のこちら

書店風雲録
ASIN/ISBN:

 

田口 久美子
本の雑誌社(単行本/277頁)
一刷刊行日:2003-12
定価(税込):¥ 1,728

   

実家が東久留米にあった関係上、地元の本屋で満足出来なかったくぼたさんに母親の悪魔のささやき「池袋西武の本屋に行ってごらん」。
当時の池袋は、東口の「西武・書籍」と「パルコ・三省堂」、西口の「東武・旭屋」とビルの最上階に古本屋がある「芳林堂」と、巨大書店がたくさんあった訳ですが、ミステリ・ジュブナイルSFにはまった頃のくほださんには東口側だけでもうおなかいっぱいだった訳です。
当時の池袋西武書籍は、10階にコミックスと児童書、11階に文庫・新書・小説・参考書・人文科学などなど、12階にアール・ヴィヴァン(隣の西武美術館にあわせた美術書)といった構成で、もう本に酔うには最適。(ちなみに10階は確か半分がレコード屋・後のDISKPORT)

後に隣に別館(イルムス館)が出来た時にその地下1~2回に移った時が、一番面白かったなあ。出来てすぐの頃に地下二階が大雨で漏水した騒ぎとか、逸見政孝の追悼フェアを禁止されて平積み撤去した所とか、実際に見てるし(思えば「トットちゃん積み」の現場も見ていたかも知れない)。ちなみにイルムス館出来た時にLOFTが生まれ、直後くらいに改装期間だけイルムス館の向かいにディスクポート館が出来ていた。あっという間に無くなったけど。

このリブロ池袋の最大の特徴は、都内唯一の「詩の専門店」があった事。二度目の改装移転(現在の書籍館地下1階を使うようになり、地下2階をデハ地下に譲渡したあたり)までは存在していたんだけど、やはり堤清二が代表降りてから、太鼓持ち的に作られていたものでもあるので、つぶれてしまった(ってか、書籍館地下時代はコミックコーナーの隅だったもん、あれは厳しいよ)。
それでも児童書専門コーナーとか、凄く独特な棚作りと、やっぱサブカル的な本(それこそ出久根達郎の初期の本とか)が充実していた。そう、それは神保町に行く必要が無いくらい。書泉2店舗と三省堂本店をあわせてもなおあの魅力には追いつかなかったなあ。

ただ、それも堤清二失脚以降は力が衰え始め、ジュンク堂の増床が決定的になって、それこそ「そこいらへんの本屋」になっちゃったもんね。

※堤清二は学生時代から詩人・辻井喬として活躍していた。

結局「書店~」シリーズの田口さんも主要スタッフ離脱後(定年やアール・ヴィバンの独立、あるいは病没という事も含めて)にジュンク堂に移ったぶん、ジュンク堂の棚が面白くなった訳で(ただし、出版点数の減少から、棚を構成する弾がひからびている気がするけど)、結局「棚を見て、ワクワクするかい? 通路をあるいてウキウキするかい?」というのが大型書店の醍醐味だと思うので、そこから離れたリブロ池袋は、こうなる運命だったのかも知れない。

個人的な読み。現在別館が無印良品メインになりつつあるので、書籍館を無印良品に、別館にロフトを移動するんじゃないかな。一部ではトーハン系のブックファーストが居抜きで入るという声が出ているけど、多分池袋西武側には書店は入れず、パルコの三省堂でお茶を濁すと思うんだよね。

一時代が終わったかな、というよりも「15年死に体だったものが幕を下ろす」という事のように思えてならない。

ちょっと残酷かも知れないけど、くぼたさんの青春の残滓が消えるということです。