なんか……違う(CFLグローバルコンバインドの話)

いざCFLへ 6人の日本人選手がグローバルドラフトで指名される(X League公式)

別ルールではあるんだけど似た競技として世界第2位の事業規模を誇るカナディアンフットボール・リーグの国際ドラフトに、日本人選手が6名も指名されたという話です。CFLからNFLに登録される選手も、その逆もあり、そういう視点から見て「NFLへの入り口」の一つであるともいえます。
その「国際化枠」に日本人が6人も指名されたという事は、日本のトップクラスの選手がいかに優れているかを示した、とも言えます。

が……

ファン界隈の今のノリに、個人的には違和感しか感じていませんです。

そもそも、他のプロスポーツ(国際的なプロリーグ)に於いて、おそらく唯一言ってもいい「下部組織を持たない」競技であるアメフト系は、契約の在り方が「何らかの形でシーズン中の所属を確約した」ものではない、という事が一番大きいわけです。
つまり「開幕ロースターに入っていて初めてスタートライン」かつ「シーズン中カットされずにきちんと北米大陸の選手と同等の活躍が出来た」ら評価されるべきなのであって、現状「まだ始まっちゃいねえよ」という状態なわけです。

よく「日本人がNFLでプレーできていない」という事を色々と取り上げている人たちがいますが、そもそもにおいて「トップリーグとの当落線上にぽつぽつと送り込んだ」NBAとNHL、当落線上に多数送り込みつつトップで活躍する選手もいるMLBと欧州サッカーは、そもそもその「選手を受け入れる容量」が大きいという特性があるわけです。いや、基本そういうものです。
それに対してアメフト系は「基本、NFlトップリーグの寡占」であり同時に「下部リーグに対してNFLが非常に冷淡であった」という歴史がある訳です。そりゃNBAやNHLのように週に2~3試合を、キャパ二万人規模で半年廻すところに比較して、下部組織を持っている財政的な理由がないし、選手寿命も短い(恐らく世界で唯一「北米の大学で複数年プレーしていないと採用されない」競技団体である為、自チームが是若年層の底上げをする必要がない)し、何より練習生契約入れて60人未満×32チームの枠を毎年数千人単位でトコロテンのように押し出される新人と、10年近く挑み続ける先輩諸氏という群雄割拠の中で、「シーズン通してプレーできる状態で常に飛んでいける場所にいる」事が日本人選手に出来るかの、という問題をまずことさら無視しているのがおかしな話な訳で。

だってよくあるじゃないですか。「高校の先生として就職して一ヶ月程度の時に怪我人の代わりにと呼ばれて契約した」とか。
それすなわち「常にNFLでプレーできる状態を維持している」ことと「常にエージェントが働きかけている」事なんですよ・それが出来て初めて群雄割拠の中に割り込めるのであって、今の「半分アマチュアとして(実質プロ契約な選手もいますけど)ダメだったときの居場所が確保されている」環境で挑戦している状況は全然全く意識低い系だと思いますよ。

まあ、一歩譲ってそこはいいとしましょう。

でも呆れてしまったのが「今アメフトを普及する為にCFLを盛り上げましょう」とか言う意見。

馬鹿ちゃいます?

正直言ってしまえば、「オージーボールのプロ契約取れました。ラグビー人気獲得のためにオージーボール盛り上げましょう」って言ったのと同じ。それ、おかしいでしょ理屈が。

国外トップリーグにスター選手が契約した事例でいうと、サッカーの奥寺がブンデス行った時なんだけど、それで国内のサッカーかが一般に浸透したかと言うと全くそんな事は無くて、JSLはピークを過ぎた釜本頼みのまま八〇年代まで(奥寺が帰国しても暫くは釜本依存)だらだらやってきた訳で。その裏でプロ化が地道に計画されていたのだが、サッカー人気はどっちかというとこの裏側で地道に活動していた、日本協会の垂直統合による強固な意志に基づいた計画に依存している訳で。
じゃあアメフトは、っていうと、もう全く話にならない。いや、日本のアメフトは垂直統合でも水平統合でもないので、「全体を俯瞰して必要な事にコストを集中させる」意識が上手く廻ってないのね。
典型例が関学による「反ライスボウルキャンペーン」。あれ、あんなにマスコミ焚きつけてやった結果、一般に悪印象しか残さなかったし、いやさはっきり言って関西学生の特定チーム以外に何の利益もなく、もっと言えばごく限られた大学トップチーム以外には悪い方向にしか向いてないんだよね。

そんな中でCFLを盛り上げて、アメフトという競技が日本に認知されるか? 
んな訳ねーじゃん
という話です、はい。

※というより、日本の大学卒業して即コンバインド引っかかるようでないとダメだと思うの。

日本人QBの社会人での取り扱いと日本代表の育成

実はこれ、二月頃にFBで触れたところ、フルボッコにされてしまった話なんですわ。

元は関学の奥野君が就職を決める際に、監督から「いまの社会人は外国人QBばかりだから、それに勝つために仕事と向き合いながら競技生活を送るのは無理があるから、仕事一本に専念した方がいい」(内容は不正確ですが)というアドバイスを受けた、という話から始まっています。同様に日大の林君も「競技継続は前提としていない就職(就職先は社会人チームを持っているとか)」という事だった訳です。

現状、確かにX1Superでは外国人QBがスタートを取っているチームが八チーム中5チーム。のこりのうちIBMは負傷交代で実際にはケビン・クラフトが先発していた訳だし、東京ガスは契約した外国人QBがコロナの影響で来日出来なかったという事が響いている訳ですから、実態としては8チーム中7チームが外国人QBを擁している訳です。X1Ariaでもアサヒビールとアサヒ飲料が外国人QBのスタートです。

しかも、その殆どが「契約が切れた外国人QBの後釜は外国人QBを探してくる」パターンになっています。平たく言うと「自前で日本人を成長させるより安直に勝利に結びつく」と編成部が考えているという事に繋がります。
前段で触れたように、大卒選手の社会人での選手寿命はせいぜい5年、長くて8年です。恐らく社会人になって3年目からスタートに定着して三年間はチームの攻撃の中核になる、という計算があって初めてプレーする気になるでしょうけど、そうでなかったら「相当逡巡する」筈なんですよ。

そういうとし「じゃあ富士通の高木とかIBMの政本はどうなるんだ」って話になるんです。多くの人が彼らを論拠にしました。
でもね。高木が社会人1年目(オービック所属)の時は、入部時にはQBは日本人だけ(ただし高木は三番手)。しかも菅原があと数年すれば後進に道を譲る価格率も高かった訳ですよ。
ところが翌年には外国人QBの参加を決めている訳で、同じ外国人でも得るものが多く、二番手のQBが怪我がちだった富士通に移籍するという選択肢になった訳です。※もし先発を希望するなら東京ガスでもライズでも良かった訳ですから。
政本にしてもクラフトからの禅譲は既定路線だった訳です(もしチーム以前のように独立採算に移行しなかったら、後継外国人QBという話も出た可能性がある)。
つまり、彼らは結構な「例外」であると思う訳です。恐らく現在の外国人QBハッピーな環境で進路を決めるときには、今ほど強い意志で社会人を選択したかというと、微妙だと思う訳です。

実際問題として、現時点で学生トップリーグのQBは、Xリーグにほぼ参加して来ていません。つまり「アメフトをするための就職」はほぼ選択肢外になっているという事です。
※ただし数年したから復帰するケースがないわけでもないが、それを期待するのは無理がある。

つまり、この問題は「政本がー」「高木がー」以前に、「チームも選手もそこに力点を置いて継続して活動できる環境を模索していかない限り、日本代表として国際試合に挑む事が出来なくなる」危険を孕んでいるという事なんです。
「日本代表なんて飾りですよ。偉い人はそこが解ってないんですよ」って言い張るなら別ですが、この国のスポーツナショナリズムの取り巻く環境は「個別のチーム」ではなく「ナショナルチーム」にステータスがある訳で、世間への認知を深めるためには絶対にナショナルチームを念頭に置かねばならないのです。

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2021年春シーズン

チーム名の変更
 LIXILディアーズ→ディアーズフットボールチーム(スポンサー契約満了)
 富士ゼロックスミネルヴァAFC→富士フイルムミネルヴァAFC(スポンサー企業名変更による)

春期辞退
 ペンタオーシャンパイレーツ
 (アサヒ飲料チャレンジャーズ)

月日 曜日 会場 時間 対戦チーム
5月16日 富士通ST川崎 11:00 電通×富士フイルム
14:00 アサヒビール×ディアーズ
17:00 .ブルザイズ東京×警視庁
5月22日 富士通ST川崎 14:00 富士通×東京ガス
5月23日 富士通ST川崎 14:00 オービック×ノジマ相模原
17:00 IBM×オール三菱
6月5日 富士通ST川崎 14:00 富士通×オール三菱
17:00 警視庁×BULLS
6月6日 富士通ST川崎 14:00 オービック×IBM
17:00 東京ガス×ノジマ相模原
6月13日 富士通ST川崎 11:00 アサヒビール×電通
14:00 ディアーズ×富士フイルム
6月19日 富士通ST川崎 13:30 ブルザイズ東京×BULLS

ちなみに東西学生は無観客で開催。開始時刻・会場非公開です。