リブロ池袋店閉店に思う

一応カテゴリは「読書」です。

この書店については、以下の書籍をお読み戴くのが一番だと思います。
 

書店風雲録 (ちくま文庫)
ASIN/ISBN:

 

田口 久美子
筑摩書房(文庫/345頁)
一刷刊行日:2007-01
定価(税込):¥ 929

   

ちなみに私が持っているのは元版のこちら

書店風雲録
ASIN/ISBN:

 

田口 久美子
本の雑誌社(単行本/277頁)
一刷刊行日:2003-12
定価(税込):¥ 1,728

   

実家が東久留米にあった関係上、地元の本屋で満足出来なかったくぼたさんに母親の悪魔のささやき「池袋西武の本屋に行ってごらん」。
当時の池袋は、東口の「西武・書籍」と「パルコ・三省堂」、西口の「東武・旭屋」とビルの最上階に古本屋がある「芳林堂」と、巨大書店がたくさんあった訳ですが、ミステリ・ジュブナイルSFにはまった頃のくほださんには東口側だけでもうおなかいっぱいだった訳です。
当時の池袋西武書籍は、10階にコミックスと児童書、11階に文庫・新書・小説・参考書・人文科学などなど、12階にアール・ヴィヴァン(隣の西武美術館にあわせた美術書)といった構成で、もう本に酔うには最適。(ちなみに10階は確か半分がレコード屋・後のDISKPORT)

後に隣に別館(イルムス館)が出来た時にその地下1~2回に移った時が、一番面白かったなあ。出来てすぐの頃に地下二階が大雨で漏水した騒ぎとか、逸見政孝の追悼フェアを禁止されて平積み撤去した所とか、実際に見てるし(思えば「トットちゃん積み」の現場も見ていたかも知れない)。ちなみにイルムス館出来た時にLOFTが生まれ、直後くらいに改装期間だけイルムス館の向かいにディスクポート館が出来ていた。あっという間に無くなったけど。

このリブロ池袋の最大の特徴は、都内唯一の「詩の専門店」があった事。二度目の改装移転(現在の書籍館地下1階を使うようになり、地下2階をデハ地下に譲渡したあたり)までは存在していたんだけど、やはり堤清二が代表降りてから、太鼓持ち的に作られていたものでもあるので、つぶれてしまった(ってか、書籍館地下時代はコミックコーナーの隅だったもん、あれは厳しいよ)。
それでも児童書専門コーナーとか、凄く独特な棚作りと、やっぱサブカル的な本(それこそ出久根達郎の初期の本とか)が充実していた。そう、それは神保町に行く必要が無いくらい。書泉2店舗と三省堂本店をあわせてもなおあの魅力には追いつかなかったなあ。

ただ、それも堤清二失脚以降は力が衰え始め、ジュンク堂の増床が決定的になって、それこそ「そこいらへんの本屋」になっちゃったもんね。

※堤清二は学生時代から詩人・辻井喬として活躍していた。

結局「書店~」シリーズの田口さんも主要スタッフ離脱後(定年やアール・ヴィバンの独立、あるいは病没という事も含めて)にジュンク堂に移ったぶん、ジュンク堂の棚が面白くなった訳で(ただし、出版点数の減少から、棚を構成する弾がひからびている気がするけど)、結局「棚を見て、ワクワクするかい? 通路をあるいてウキウキするかい?」というのが大型書店の醍醐味だと思うので、そこから離れたリブロ池袋は、こうなる運命だったのかも知れない。

個人的な読み。現在別館が無印良品メインになりつつあるので、書籍館を無印良品に、別館にロフトを移動するんじゃないかな。一部ではトーハン系のブックファーストが居抜きで入るという声が出ているけど、多分池袋西武側には書店は入れず、パルコの三省堂でお茶を濁すと思うんだよね。

一時代が終わったかな、というよりも「15年死に体だったものが幕を下ろす」という事のように思えてならない。

ちょっと残酷かも知れないけど、くぼたさんの青春の残滓が消えるということです。