9日のNHKスペシャル「帰宅難民」に関する雑感

有り体に言うと「この内容で放送するのは、全くと言っていいくらい意味も価値もなかった、どーしよーもない内容」でしたね。

実際、帰宅難民になった人として言いますが、「その場にとどまる」というのは実に都合のいい台詞です。
実際に新宿であの日、新宿にとどまることが選択できたとは思えない。
その場の当事者ではない傍観者である学者の言っていることは、意味も無いし矛盾に気づかないのか。

※矛盾、というのは「直下型での火災」に対して、「その場にとどまる」無意味さを全く指摘していない。つまり「焼死してでもとどまることが災害抑止力に繋がる」と学者は言った事になる。

確かに後半の「家族が心配だから帰る」という視点を浮き彫りにするためには必要な前段なのかもしれないけれど、そのためにあれだけの時間を費やす必要は全くない筈。

指摘すべき事として「行政がどう避難させるか」「待機所への誘導はどうすべきか」「移動手段の抑制をどうすべきか」「それらの伝達をいかに迅速で的確に万人に知らしめるか」が、何一つ語られていなかった。

あの日の場合、東京で一番問題だったのは「屋根のない公園に避難して欲しい」という「お願い」だけを繰り返していた事で、免震機能を持った屋根付きの待避所について夕方4時までに開設・誘導出来なかった事が一番の課題ですよ。
報道で見る限り、多くの施設が夜9時から解放。その情報もほとんど入らずという状態だった訳で。本当なら新宿ならば最低でも都庁のホールと議会議事堂は夕方には避難場所に出来た筈。
また、避難場所に誘導する人の流れも存在せず。
それじゃあどうしようもないでしょうに。

さらに首都直下だったら、多分もっと建物や鉄道の破壊が進んでいた訳で。
そういう所に全く踏み込んでないのだから、どうしようもない番組でしたね。

期待していただけに、がっかりでした。