Winny高裁判決と、欧州型裁判制度の限界(2)

大事なこと書いてないじゃん(笑)

今回の裁判は、アメリカだったら罪状も判決も異なる訳だが、基本刑事裁判ではなく民事裁判で損害賠償および活動制限という事になる訳ですが、日本ではそうならないので。
これは裁判の判断基準が日本を含む欧米型の「損害賠償を最優先」と言う考え方と、アメリカのように「権利の抑制による再発防止と、弁護費用のムシり取り」で行くものの決定的な差だと思うのです。

そもそもこの事件を刑事事件として扱うのは、日本では限界-つまり犯罪を規定する法律がすべて後追いのため、新たな判例を作る事を含めて法律概念が保守的という意味-があり、アメリカのように「あくまで権利侵害の認定を優先する」スタンスで社会罰を加える事とは、根本が違っている訳です。

従って今回の事件は「罪状優先型」とでも言うべき欧州型(いや、もっと正確に言うと「プロイセン型」だけど)裁判制度では、裁くことが出来ない刑事罰だったという事だと思うのです。

いや、別にだからといってアメリカ型裁判がいいというつもりはサラサラなくて。
2chの西村氏が民事で損害賠償を受けても払う気がないというのと同じで、罪を罪として認知出来ない裁判では意味が無く、同時に権利の抑制という手段が採用できない法体系に問題があるわけです。
※ちなみに、西村氏の居直りに対して裁判所は「彼が役員をしている企業に対して、その報酬を差し押さえると共に、その振込先口座の預金高を差し押さえる」事と、「その先にある未申告収入の実態を税務当局に告発」ぐらいはしてもいいんじゃないですか?出来ない理由が知りたいです。-但し、。2ch裁判については、最近考え方が変わっているので。あくまで2 chの罪は「モラル形成とその維持」が欠如していることであり、場の存在は否定しません。

先に書いたように、Winnyを制作した際に、および問題が明らかになった段階にて、法的・社会的問題のある使い方が出来る認識があった時点で、対策を一切講じず「脱法行為は違法行為にあらず、法がザルだから何やってもOK」という姿勢は、反社会的行動でしかないです。もし制作者サイドが「グレーゾーンになる部分については、権利者に最大の配慮をすることと、権利者の生活を守るためにお金を落としていきましょう」などの著作権権利者に理解を示すアジテーションを行っていたら、刑事裁判なんぞにならないし、もっと発展的に「権利者にも利用者にもそれなりにハッピーな結末が待っている」ビジネスモデルに展開できた筈なんだよね。

結局、映像音響系はピア・ツー・ピアではなくオンデマンドに推移しちゃったし、そういう意味で「技術の発展に殆ど寄与していないプログラムで、いつまで鼻息荒くしてやがる」という気持ちの法が強いし、Winnyの当時から先進的であったスカイプなどが幅をきかしている以上、この人が言うような「開発者の萎縮」は起きず、パラダイムはシフトしちゃった訳で。裁判に訴えの利益がないと思う次第です。

っつうか、裁判所はもっとITを勉強するか、知的裁判所のようなものを作る必要があるかも知れませんね。