Jリーグ・川淵幻想について(3)

9月にFacebookのタイムラインで連載した物の3回目です。

ちょっとまとめ切れていませんが、フランチャイズの「地域密着」は、ゼロから始まったものではないのだという現実をしっかり押さえておかないと、動きゃしやいのですよ。
例えばフロンターレの場合で行けば、もともとヴェルディ川崎の都心指向が露骨で(そもそも「読売ヴェルディ」と呼ばせろというのも、読売グループのスポーツコンテンツ管理の一貫で、かつ本当は東京ドームに招待券ばらまいて満員にする事をイメージしていた)、それに反発した一部の川崎市民が富士通サッカー部に働きかけを強めて実業団から改組したという経緯を、JR南武線沿線の人は観ているのである(従ってJ1昇格までの熱量は凄かったが、昇格とほぼ同時にヴェルディが味の素に移転したので、そこから一度運動はもの凄く下火になった)。
※ちなみに、ホームタウンの隣接禁止というのがJの規定にはある。なので、よく誤解されているがFC東京のホームタウンは小平市と隣接市、ヴェルディは稲城市と隣接する「他のホームタウンに抵触しない市」で、従って調布と府中はFC東京の、狛江と多摩はヴエルディのホームタウン。
したがって、1度目は「富士通城下町のチーム」で、現在は「川崎市宮前区などの市民のチーム」なのである。
この考え方からすると、広島市がサンフレッチェに冷淡な理由もなんとなく察することは出来る。つまり広島市の中核にいるのは広島東洋カープであって、マツダの城下町チームであるサンフレッチェは外様扱いなのである(メインである宇品からメインスタジアムまで遠すぎるしね)。

清水を例外として、だいたい新設チームや移転チームは一度経営破綻に近い状況を経験しているので、実は「地域密着」の前に「下地が存在した」と取るべきなんじゃないかねえ。

-----------------------

現在J1~J3に在籍するチームの母体を考えてみよう。
・実業団がそのまま改組したもの(オリジナルのうち8チーム。違うのは清水とヴェルディ)
・実業団が移転して改組したもの(アビスパ、鳥栖、ヴィッセル、札幌)
。教員クラブ(京都、鳥取、甲府、山口、鹿児島の元組織であるヴォルガ鹿児島、栃木)
・元々あったクラブの改組(ヴェルディ、愛媛、長崎、福島、金沢)
・J昇格に向けて新規設立(清水、水戸(但しプリマハムを吸収継承している)、草津、藤枝、横浜FC、YSCC横浜、讃岐、長野、相模原、盛岡、大分、岐阜)

つまりだ。現在J1のチームは、甲府以外は全て実業団を母体にしている。
つまり、だ。「企業城下町として地域に根ざしたチーム」がJに上がっていて、実業団でも企業城下町ではなかったところのチームは苦戦している。
その後の努力がものを言うのは事実だが、そのアドバンスはとても大きなものがあった訳である。
自分たちが生き延びるために努力したチームが上に来るのは当然としても、実業団だった所のアドバンスを生かし切れないチームが多数あるのはどうしたことか。

ネットの噂レベルではあるが、J3が出来る事で救済されたチームが幾つかある(J2では、昇格できなかった。その場合には解散が前提であったというチームが複数あるという)。
その上で、リーグが「生き残るためにはこの基準を満たしなさいよ」とクラブライセンス制度を立ち上げてお尻を叩かなくてはならない程脆弱な経営基盤のチームが多いという事実を、もっと理解しなくてはならない。

さらに、チームによってはJ1でも観客席の埋まり具合が凄惨なところもあるし、そもそも4万入るハコで2階席をほとんど開放しないとかそれて成功と言えるの?
失敗してないだけで成功なの?

アメフトなんて「企業城下町」チームゼロだよ(微妙なのがLIXILと富士通とパナ。あとは基本、都市型全国区企業の大都市圏在住者の集合体だから地元への帰属意識が薄い)。
それで何を誰から学べというのか。
もうちょっと頭使ってほしいものである。
(4)に続く(ってか、まとまってないまま強引に話題を変える)