ライスボウル改革に関して(4)

まず以下に展開される発言は
「ライスボウルは現行のままであるべきだ」ではなく
「今回の決定とそれを歓迎する思考プロセスがクソである」
ということを言いたいのであって、結論が「社会人対学生でなくなる」であってもその本質が「天と地ほど違う」事を理解してお読み戴きたい。

社会人対学生についての安全性の議論についても不可思議で、たった1校の監督だけが声高に危険を叫んでいるが、もし本当に危険であると判断出来る要素があるなら日本協会の医療技術研究会から報告が出て(あるいは関西学連がレポートを出すべき)であるが、そういった動きも見受けられない。
※動きとして内々にあったから今年からWGが開かれたという事も可能性としては存在するが、もしそんなものがあったら鳥内さんや小野さんが鬼の首を取ったようにあげつらう筈である。

さらに学校法人としての関西学院大学として一切発言がないというのも奇妙な話である。在学生を危険にさらすという報道を部活動の指導者がしているのだから、ヒアリングの上発言があってもしかるべきなのに、そういう報道もない。
※そういう意味では、たまたま2020年の全国大学ラグビー選手権の出場権に関するトラブルの際に抗議を行ったのが「関西学院大学」の名義で報道されているのに、ライスにまつわる疑義(というより不平不満)は監督とディレクターの個人名だけなのが対照的てある。つまりラグビーは組織として抗議し、アメフトは個人が勝手に言っているだけ、ということになる。それ、おかしくね?

つまり、本来なら

関西学院側に実際に競技を断念せざるを得ないほどの重篤な怪我が発生する、あるいは医療スタッフからその危険性が指摘される

チームとして今後の社会人トップとの対戦に疑義が出たと結論づける

関西学連を介して大学協会に意見書を提出

関西学連として意見書に沿った合意形成か出来て大学協会に答申

大学協会側から日本協会に上申

という流れが出来て、おおよそ日本協会にたどり着くのに最初から最短2年かかる筈なのである。

ところが今回は
第67回(2013年シーズン)から鳥内さんの言葉に「外国人が~」という言葉が出てくる
第68回(2014年シーズン)からあからさまに敗因を外国人のせいにする。このシーズンに関西最終節の集客が前年の大幅割れをする。
第69回(2015年シーズン)から西日本選手権に関西が2チーム出る事になる。
第70回(2016年シーズン)から「怪我が~選手が危険だ~」と言い始める。
第72回(2018年シーズン)さらに関西最終節と西日本選手権の集客が落ちる。このへんから公式会見後にマスコミに対して自説をアピールして記事にしてもらうようになる。
第73回(2019年シーズン)西日本プレーオフに関西が3チーム派遣。西日本豪雨災害の影響は関西学生1部には出なかったにもかかわらず過密日程化。ちなみに関西学生最終節と西日本王座は、どちらも1万人割れ。この年初めて関西学連に意見書を公式に提出。
2020年にWGが始まり、年度末の理事会に諮る結論が8月から6回の会合で出る。

なんかプロセス的におかしくないですか?
ずっと新聞記者にタレ流すだけで、手続きに入ったの2020年初頭でしょ。
日本協会の理事には大学協会から伊角さんと平井さんが入っているし、結構な数「将来的にライスボウルは変わるべき」論者がいるにも関わらず、正式な議論になるのに7年かかってるっておかしくない?
しかも外国人選手が初めてライスに出てきたのは64回大会(2010年シーズン。ケビン・ジャクソンは2009年シーズンから登録)、外国人選手によって苦杯をなめたのは65回以降毎回の事。
そして社会人と学生の体格差が顕著になったきっかけは2007年世界選手権(当時はW杯)でアメリカ代表と当たった事がきっかけであって(ちなみに関西学生だけが春期を通常日程でこなしている)、リーグ戦で外国人と当たっているからというより「北米大陸のチームに勝つ」という目的意識が、日本代表の選手の供給源である社会人協会に強くあるからなんであって、その意識が学生(とOBと老害ファン)にはほとんどないという事でしかない。
※国際的にもU-19は存在するが、ユニバーシアードはつい最近出来たばかりで、かつ北米や欧州最強のドイツなどは参加していない為、大学生が国際感覚を身につける機会は単独遠征のみである。が、NCAAの規約により米国外での試合、米国内で他国のちーむとの試合が出来ない。

ついでに言うと第69回の立命館、第71回の日大は、危険性に関する発言が報道されてないんですよ。もし本当に危険だというなら記者はそこについて質問して「危険」という言葉を引っ張り出すべきだったと思うし、そうしなかったというのは「実はそこがあまり重きを置かれていない(報道的には)」という事なんじゃないだろうか?

そういう議論が見えてこない以上、これは関学サイドの「負けた言い訳を正当化するための保身的な行動」だったと言わざるを得ないと思うし、そこに考え無しで乗っかった懐旧的老害ファンによる日本代表強化軽視でしかないと思うのだ。