アルバイトの時給1500円、の過ち

元はアメリカのマクドナルド従業員の賃上げの話だったものを、そのまま日本のあるユニオンが持ち込んだもの、らしいのだが……
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150415-00000072-mai-soci

なんか前提が違うような気がして仕方ない。

というのも……
時給1500円×一日勤務時間8時間×一ヶ月標準勤務日数21日=252,000
月25万って、正規労働者員と同等の賃金だよね。
ぶっちゃけ、派遣社員でも時間単価1200円~1400円だよ?
アルバイト(短期補充を目的とした雇用形態の労働者)にそんだけ出したら契約社員や派遣社員(中期的な専門知識活用を目的とした雇用形態の労働者)はもっと高くないと職務に対する対価が低くなってしまう。
そうなると正社員はもっと高くないと、雇用先に対する忠誠(秩序義務とも言うべきか)が保てなくなる。
するとその部分を埋める為に物価が高くなる。

そういうしくみを無視して「内部留保を下げろ」と言う暴論で計算して数字が揃う事を誇示するのはどうなんだろうねえ、と思ってしまう。

そもそも、言っては悪いが、アルバイトによる収入は「家計を支える」ものではなくて「家系を補助する」ものだと思うのだよ、私は。
つまり「せいぜい6年(4年制大学を2年留年する間)で入れ替わるのが当然の雇用形態」で「家族の将来をまかなう」計算をするのが根本的におかしい筈なのね。

これは平たく言うと「17歳からのライフプランニング」や「20歳からの人生設計」の話な筈で(その中にはリストラも当然入っていなくてはいけない)あって、一生涯をマクドナルドのアルバイトで生計立てる馬鹿がどこにいるか、という話で無くてはいけないのに。

いやいや、一歩譲ったとして「時給1000円で生活出来ない大都市圏の物価・税制問題」という所に何故行かないのかね?

正直に言ってしまえば「時給1500円のバイトが駄弁ってるマクドナルドに行くくらいなら、時給870円のレジ打ちがいるローソンの方に行くよ」と言われてしまう訳だ(※マクドナルドに限らず、日中バイト単価が1500円以上のバイトがいるような飲食店なら、はっきり言って「価格、ボッタクリっしょ」と思うね。あの味で1500円のバイト、雇えるくらいの利益率出すのかよ、と)。
それならコンビニで色々まとめ買いした方が安くていいよ、となるからね。

まずね。アルバイトは16歳~28歳までの「自分のお小遣い+α or 生活費」のグループと25歳~55歳の「結婚家庭の生活の補助」のグループと、45歳~72歳の「終活に向けてのやりがい」と、2つの世代に別れているべきなのね。ところが就職氷河期の影響で最初の世代後ろの年齢がズルズル下がってしまっている訳だ。それも、妙なプライドで仕事をえり好みする事でズブズブになるパターンも。

そこの問題を無視して、労働単価だけて言っても、なあんも意味が無い。いやむしろ「じゃあ、労働コースで分けますけど、日中単価1500円の人はコース作るけど雇い入れ枠小さいから。本当に使えそうなのはバイトから廉価社員(地域採用って奴)に取り立てるけど、高い単価の人は単年契約でかつ再雇用なしね」と言われて骨抜きになるだけだよ。

ぶっちゃユニオンが本当になすべき事は「収入が上がることは大切だけど、支出構造がどうなっているか再確認を。漏水が激しい水道管にどんなに水を流しても、蛇口に届く前に抜け落ちたのでは意味が無い」ということな筈なんだけどね。

そういう訳で、経済構造を無視した今回の要求は、世界標準というより「無知による誤認」だと思うのであります。